2014.11.23 Sunday

森田療法made Simple

[スポンサードリンク]

0
    JUGEMテーマ:心理学


    この記事の目的


    森田療法made Simpleは、森田療法によって、「生活の質を向上させるヒントを得たい」
    と考える方を対象にしたエントリーです。

    ほとんど全ての精神療法に当てはまるよくある「誤解」があります。
    その誤解とは、「精神療法は心の病を治すためだけもの」という解釈です。

    しかし、実際は、森田療法だけでなく、ほぼ全ての精神療法は、
    それが優秀な治療方法であればあるほど、心理的に正常な方の生活の質を向上させる武器になります。

    当サイトでは、特に心の病気を患っていない方を対象にしています。
    そういった健康の範疇に入る状況でも、「心の使い方」について学べば、
    あらゆるシーンでパフォーマンスを上げ、ストレスを低減させることに役立つと思います。

    当サイトが少しでも、皆様のお役に立てば幸いです。


    コンテンツ一覧


    森田療法とは?

    森田療法の歴史

    「あるがまま」と「ありのまま」は大違い!

    事実に従順な方が楽

    「あるがまま」の体得

    行動は新しい考え方をインストールするための武器

    私の「考え方インストール」の体験談  




    【PR】 森田療法のすべてがわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)


    森田療法とは?


    神経症の治療を目的に、精神科医の森田正馬(もりたまさたけ)が20世紀前半に開発した精神療法。
    日本で開発された精神療法の中で唯一、世界的な普及を果たしている精神療法です。
    『新版 神経衰弱と強迫観念の根治法』は、1926年に出版された書籍ながら、2014-15年現在でも読み継がれている名著です。
    その他の森田療法研究家としては高良武久、鈴木知準、宇佐玄雄(うさげんゆう)、宇佐晋一、北西憲二、大原健士朗などが有名です。



    森田療法の歴史



    もともと森田正馬本人が神経症を患っており、それを自ら克服する過程で開発された治療法です。
    神経質に悩みながらも、精神科医、呉秀三(くれしゅうぞう)の下に学生時代を過ごし、医師になった後、森田療法を完成させました。
    今から90年以上昔の出来事です。

    当時日本にはフロイトの考えが持ち込まれました。
    しかし森田はフロイトの理論は「いたずらに神秘的である」とし、フロイトを支持する東北大学の丸井清泰(まるいきよやす)と大論争になります。

    その後、森田療法は日本だけでなく世界にまで普及し、現在でも優れた精神療法として研究され続けています。
    新フロイト派のカレン・ホーナイはわざわざ来日し、森田療法を視察したそうです。



    「あるがまま」と「ありのまま」は大違い!



    森田療法は「あるがまま」身につけるための精神療法である。
    「あるがまま」とは、ありのままでいなさい、という意味ではなく、自然に従順でありなさいという意味です。
    自然は「事実」とも言い換えられます。
    それはすなわち、気分・感情を軸にして出来事の価値を決めるのではなく、
    事実を軸にして出来事の価値を判断するというパラダイム転換です。



    事実に従順な方が楽



    例えば英単語を100個暗記しようと考えます。
    英単語の丸暗記など苦痛を伴う作業です。
    100人いたら100人が苦痛を感じることでしょう。
    自らを強いて励むことでしか達成できないことです。

    ここで、英単語の暗記など苦しいのは当然。
    苦痛でいいから、苦しいながら、せっせと英単語100個を暗記する人は「あるがまま」の態度を身につけている人物です。

    一方、「なんとか楽しく英単語を暗記する方法はないか?」等と、土台不可能なことを、
    いろいろな工夫を凝らして無理にでも可能にしてやろうというのは、あるがままの態度の正反対です。
    どんなに思考をいじくっても、英単語の暗記は苦痛であるという事実は変化しません。

    そんな風に「不可能を可能にする努力」をしておれば、いっこうに英単語の暗記は進みません。
    当然、その結果、気分はもっと悪くなります。



    「あるがまま」の体得



    「あるがまま」の態度を体得するための方法論はいたってシンプルです。
    苦痛や不安があっても、それをどうしようともせずに、なすべきことを実行していくように心がければいいだけです。

    先の例で言えば、英単語の暗記は苦しいけれども、苦しみはそのままに、辛いながらどんどん勉強を進めていけばいいのです。

    このように、物事や出来事の良し悪しを気分で判断するのではなく事実で判断することを事実本位と言います。
    逆に、「気分が乗らないから今日は大学の講義を休む」というような場合を気分本位と言います。

    ある事態の価値がもしも気分で決まるならば、最も望ましい状況は、麻薬で気持ちよくなっている状態です。
    しかし、実際には、事実の問題として、麻薬に手を出すと人生が崩壊するほどのマイナスの効果しかありません。

    とはいえ、人は感情の生き物、行動が感情に左右されてしまうのも人情です。
    しかし、だからこそ、事実本位の態度を獲得した方が、楽に生きられると言えるのではないでしょうか。
    「進歩したい」「偉くなりたい」という生物の基本的な欲求に逆らうのは気分本位の考えです。



    行動は新しい考え方をインストールするための武器



    科学的にその効果を証明されている精神療法の1つに認知療法があります。
    認知療法は【考え方の癖】を発見し、その考え方の科学的妥当性を探っていくことで、より現実的な認識を獲得するための治療法です。

    しかし、認知療法は行動療法と融合することでさらにその効果を増しました。
    ざっくり言えば、その結果、生まれたのがCBT(認知行動療法)です。
    CBTはIPT(対人関係療法)と並んで科学的にその効果が立証されている2大精神療法と言えるでしょう。

    但しごっちゃにしてはいけないのは、森田療法は神経質の治療法であってうつ病など神経質以外の病気の治療法ではありません。
    ちょっと例外もありますが……。
    逆に、認知行動療法と対人関係療法の射程は広く、神経質〜うつ病〜摂食障害まで様々な病気に応用されます。

    しかし、心の病を罹っていない人の生活の質を向上させるツールとしては、
    森田療法、認知療法、認知行動療法、対人関係療法のうち、どれをとっても、全て非常に強力な道具です。

    ところで、ここからが本題なのですが、
    「行動は新しい考え方をインストールする(根付かせる)ための武器!」ということを是非お伝えしたいです。
    これを森田先生風に言い換えれば、「外形整えば、内形おのずから熟す」と表現できます。

    新しい考え方を準備して、「よし●●と考えるようにするぞ」と決意しても、
    ごく短期的な効果しか得られません。
    それは、従来の考え方の方がよほど強くあなたの心に根付いているからです。

    では新しい思考を導入するにはどうすればいいでしょうか。
    そうです。具体的な行動をすることで、新しい考えをインストールすればいいのです。
    具体的な行動は、「もしその新しい考え方が根付いている未来の自分ならば、〜なとき、どう行動するか?」と
    自問自答してみれば明らかになります。


    私の「考え方インストール」の体験談



    私は以下のようにしました。


    「1日2時間毎日副業に取り組むことは生活を豊かにする。気分にとらわれず実行しよう」


    例えば新しいノートPC(34,000円するDellのノート)を買うために、副業をがんばろう。
    具体的には、辛くても、1日2時間は取り組もう。
    もっと具体的には、キッチンタイマーを2時間にSETして、
    集中して副業をしている時間を正確に計測しよう。
    トイレに行く時間や、ちょっと休憩する時間を正確に差し引いて2時間を副業に費やそう。


    この思考を自分の中に根付かせるためには、実際に毎日2時間、副業をすればいいわけです。
    最初は嫌々ながら仕方なくやります。
    気分本位は役立たないことを知っていますから、気分が乗らなくてもいいのです。

    そして毎日きっかり2時間、正確に計測して副業に取り組んだ結果、
    2ヵ月後にはDELLのノートPCを副業の稼ぎだけで購入できました。

    それだけでなく、毎日2時間を副業に費やして、副業から得た収入を貯蓄する習慣が身につきました。
    もちろん今でも副業の作業は面倒で気分的にはけして楽しいものではありません。
    しかし、楽しいかどうか等気にせず、自然に机に座り作業する癖がつきました。

    従来、「副業なんてめんどうなことは自分にはできない」という思考をしていました。
    そして「1日2時間毎日副業に取り組むことは生活を豊かにする。気分にとらわれず実行しよう」ということを、
    頭で考えるだけでは、自分に根付かせることはできませんでした。

    しかし、「1日2時間毎日副業に取り組むことは生活を豊かにする。気分にとらわれず実行しよう」と本気で信じている人なら、
    どう行動するか?を洗い出し、それらの行動を苦しみながら実行しました。
    もちろん出来ない日もありましたが、「行動は考え方を変えるための武器である」という知識はあったので、自分を励ましてがんばりました。

    その結果、新しい考え方がしっかりと「根付いた」のです。
    私はこの新しい思考を定着させることを勝手に「インストールする」と呼んでいます。
    パソコンと同じでアプリをダウンロードしただけではアプリは動かない。インストール作業が必要なのです。

    森田先生の主張通り、内心を育てたければ、まずは形から入るとうまくいくものです。
    もちろん気分的には苦しい場合がほとんどなので勇気が必要ですし、簡単にはうまくいかないでしょう。
    私もたくさん、たくさん挫折しました。

    それでも、理屈上、形から入る以外に、新しい考えを根付かせる効果的な方法はないことを知っていました。
    だから、すぐにうまくいかないとはいえ、努力の方向性は正しいのです。
    正しい戦略で努力をすれば、いずれ早晩、結果は出るものです。


    【PR】 森田療法のすべてがわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)









     

    [スポンサードリンク]